兵庫県立 塚口病院
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乳腺専門外来
乳腺専門外来

当院の乳腺専門外来・診療について
診察・診断
  当院外科では、毎週火曜日(担当:橘 強)と木・金曜日(担当:諏訪裕文)の3回乳腺専門外来を開き、診療を行っています。
乳房の「しこり」「痛み」や「乳汁分泌」などを自覚された方を対象としていますが、その他の乳腺疾患の方や、症状はないものの乳癌が心配という方も診察しています。
初診の患者様には当日に、触診、マンモグラフィ(乳房X線撮影)、エコー(超音波)検査を行い、しこり(腫瘤)や乳汁分泌がある場合は、良性・悪性の鑑別のために細胞診または針生検を直ちに施行します。 結果は数日で判明し、迅速な診断により患者様の不安を軽減するよう努めています。針の検査で診断が確定しない場合は、局所麻酔で腫瘤を摘出して組織診断を行うこともあります。
体表面から触れることができない小さな病変に対しては、マンモトーム生検という太い針での組織診断を行っています(次項)。

マンモトーム生検
  エコー(超音波)検査で腫瘤が描出される場合には、エコーで見ながらマンモトーム生検(エコーガイド下マンモトーム生検)を行い、 マンモグラフィで微細な石灰化(早期乳癌で認められることがあります)だけが描出される場合には、マンモグラフィを行いながらマンモトーム生検(ステレオガイド下マンモトーム生検)を行い、 組織診断を行っています。太い針を刺入するため皮膚を約4mm切開しますが、局所麻酔を十分に行いますので、ほとんど痛みはありません。 皮膚の縫合は必要なく、傷跡もほとんど目立ちません。検査は30-40分で終了しますが、安全面を重視し1泊2日入院で行い、検査翌日の退院としています。
2006年の導入以後、エコーガイド下マンモトーム生検で13名、ステレオガイド下マンモトーム生検で18名の方が乳癌と診断されましたが、 全員が早期発見で31名のうち25名の方に乳房温存手術を施行することができました。

術前検査
  乳癌と確定診断された場合、CT、MRI、骨シンチグラフィなどの検査を行います。 CT検査では、癌の皮膚、大胸筋への浸潤の有無、リンパ節、肺、肝臓への転移の有無を、骨シンチグラフィ検査では骨転移の有無を調べます。 MRI検査では癌の乳管内進展や多発病巣の有無などを調べます。

手術
  乳房温存手術(乳房部分切除術)を基本とし、根治性と整容性の両立に努めています。 温存手術では、腫瘍縁から全周性に1ないし2cm離して乳腺を切除し、乳腺断端に癌の取り残しがないことを、術中迅速病理診断で確認しています。
温存手術の適応は、腫瘍径3cm以下としていますが、整容性が保たれる場合はもう少し大きな腫瘍に対しても行っています。 また、腫瘍径が3cmよりも大きく、温存手術を希望される場合は、術前化学療法(術前抗がん剤療法、後述)を3-6ヶ月行い、腫瘍縮小後に手術を行うことにしています。 現在、当科では年間乳癌手術件数は約60件で、そのうち約70%に乳房温存手術を施行しています。
乳房温存手術を施行した場合は乳房内再発を予防するため、手術の約2週後から温存乳腺に対して放射線照射を計25回行っています(計50Gy)。 照射は数分間で終了し、すべて外来通院で受けていただくことができます。
腫瘍径の大きさ、広範囲進展や多発病巣のため乳房温存手術の適応のない場合は、胸筋温存乳房切除術(乳房全摘術)を施行しています。
入院期間は、乳房温存手術で約1週間、乳房全摘術で約2週間です。

内視鏡下乳房温存手術
  腫瘍径2cm以下で限局し皮膚浸潤のない場合には、内視鏡下乳房温存手術を行っています。わきの下や乳輪縁など傷の目立たない部位に小切開を 加えて内視鏡下に手術を行うため、美容的にもより良好な結果が得られます。切除する範囲は通常の乳房温存手術と同じであり、根治性が劣ることはありません。

乳房再建手術
  形成外科との合同手術により、腹直筋皮弁や広背筋皮弁を用いた乳房再建手術を行っています。 乳房全摘術と再建を同時に行う一期的再建と、乳房全摘術の数年後に再建する二期的再建があります。また、乳房温存手術でも切除範囲が大きく、変形が著しいと予想されるときは、 広背筋皮弁を用いた乳房再建を同時に行うこともあります。二期的再建については、ご希望があれば乳房再建の専門病院を紹介いたします。

センチネルリンパ節生検
  乳癌は進行すると、わきの下のリンパ節(腋窩リンパ節)に転移することが知られています。 最初に転移をきたすリンパ節のことをセンチネルリンパ節(見張りリンパ節)といいます。
当院では、手術中にセンチネルリンパ節を摘出し、迅速病理診断に提出して転移の有無を診断しています(センチネルリンパ節生検)。 転移陰性の場合はリンパの切除(腋窩リンパ郭清)を省略し、陽性の場合はリンパの切除を行っています。
不必要なリンパ郭清を省略することにより、手術後の腕や手の浮腫(むくみ)、しびれ感や痛みなどの後遺症を防ぐことができます。

術前化学療法(術前抗がん剤療法)
  腫瘍が3cmよりも大きく、温存手術を希望される場合に、腫瘍縮小後の乳房温存手術(乳房部分切除術)を目的として行っています。
これは腫瘍縮小だけでなく、目に見えないような小さな癌細胞(微小転移)にも効果が期待できる治療法で、再発予防目的で術後に行う化学療法(術後抗がん剤療法)と同様の効果が期待でき、これを手術前に行うと考えることもできます。 最近三年間に術前化学療法を受けられた17名のうち12名の方に乳房温存手術が可能になりました。

術後補助療法
  手術後に、再発予防目的で行う治療法のことを術後補助療法といいます。
世界の乳癌治療専門医が一同に会するザンクトガレン会議で推奨される標準療法や日本乳癌学会の診療ガイドラインに基づき、患者様と相談の上、術後補助療法の方針を決定しています。
具体的には、リンパ節転移の有無、ホルモン受容体の有無、その他の悪性度の指標を元に、化学療法(術後抗がん剤療法3-6ヶ月間)、内分泌療法(術後ホルモン療法5年間)や分子標的治療(ハーセプチン1年間)などの治療を外来にて行います。

転移・再発乳癌の治療
  乳房内再発、局所再発やリンパ再発に対しては、手術による病巣の切除を優先します。 骨、肺、肝臓、脳などへの血行性転移・再発には、ホルモン療法や化学療法(抗がん剤療法)、トラスツズマブ(ハーセプチン)などの薬物療法を行います。 骨や脳への転移には、放射線療法を行うこともあります。疼痛に対しての緩和ケア治療も行っています。

ブレストケアチーム(乳癌診療チーム)
  乳癌は、初診から診断、外科的治療、薬物治療、放射線治療、転移・再発時の緩和ケアなどにおいて多くの医療スタッフのサポートが必要です。 当院では、2006年から医師、看護師、薬剤師、放射線技師、検査技師、理学療法士、栄養士、臨床工学技士、メディカルソーシャルワーカーなど多職種から構成されるブレストケアチームを組織し、カンファレンスを開いて患者様1人1人の治療方針を決定しています。 各職種がそれぞれ専門性を生かして、患者様の診療に携わりますので、心配な事はなんでもお尋ね下さい。

京都大学乳腺外科との連携
  当院外科の乳腺診療部門は京都大学乳腺外科の関連施設であり、コンセンサスミーティングを重ねて 同様の治療方針(マンモトーム生検、乳房温存手術、センチネルリンパ節生検、術前化学療法、術後補助療法など)で診療を行っています。

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